こんにちは🌟
写真家のJimaです(^^)
今回は私がカメラ選びの中で実は気にしている撮像素子(センサー)の読み出し速度とローリングシャッター歪みの話です。
はじめに
最近はミラーレス一眼のカメラが登場するたびに「歪みは出るのか」を気にする記事を見かけることも多いです。
ただ「何がどう歪むの?」という疑問を持つ方も多いと思います。
そして、私も実は歪みがあるかどうかでカメラを使い分けていたりします。
今回は改めてローリングシャッター歪みの全体像と私なりの注目ポイントをカメラの使い分けを含め解説します。
ローリングシャッター歪みとは
直球で言うと、被写体が画面内を左右方向に移動する長方形であると被写体が長方形ではなく平行四辺形になって写る現象です。
フォーカルプレンシャッターを搭載しているカメラで速いシャッター速度を使って撮影する場合、シャッター機構はスリット幅を狭くしています。
フォーカルプレンシャッター
撮像素子(センサー)やフィルムの直前に配置されているシャッターのこと。
一般的に最高で1/4000~1/8000秒のと速いシャッター速度が利用できます。
※当記事では念のため、フォーカルプレンシャッターとメカニカルシャッターを混ぜずに表記します。
歪みが発生する理由
こんな写真を見たことはありませんか?
左が正常な状態の鉄道、中央と右は同じ鉄道でも歪んでいます。
実は、歪みには原因があります。
撮影時、スリットが下から上に移動するシャッター機構を搭載したカメラで画面内を左から右に移動する被写体を撮影すると、レンズを通った被写体の像は上下が反転しているため、カメラの撮像面の下側に写る被写体の上側から露出が始まります。
そして、時間とともに被写体の下側に向かって移動するため、被写体の上側が左に寄って歪んだ形となります。
逆にスリットが上から下に移動する場合は歪み方も逆になります。
こういった、ローリングシャッター歪みは幕速に関係しているのですが、幕速が遅いほど目立ちます。
ただ、最近のカメラではフォーカルプレンシャッターの幕速は十分に速いので特に気にならなくなっています。
とはいえ”電子シャッター”で撮ると気になる
ここ最近、ミラーレス一眼カメラで私も密かに注目する「センサーの読み出し速度」の話です。
フォーカルプレーンシャッターを利用する場合はローリングシャッター歪みは気にしなくていいのですが、電子シャッター(サイレント撮影)などではカメラによっては盛大にローリングシャッター歪みが出ることがあります。
電子シャッターは、シャッター速度(露光時間)の制御に電子回路を使っており、撮像素子(センサー)を電気的に制御することでシャッターの開閉と同じような効果があります。
すべての撮影をフォーカルプレンシャッターで撮影するなら問題ないのですが、部分的に電子シャッターを利用する場合は鉄道など長方形かつ横移動の被写体や、私達がカメラを動かして撮る場合に留意する必要があります。
これはニコン(Z7)のマニュアルでも記載がありました。
サイレント撮影について
[サイレント撮影]を[する]に設定していても、完全に無音にはなりません。撮影時に絞りやオートフォーカスなどカメラの動作音がすることがあります。
撮影画面の表示に次のような現象が発生することがあり、これらの現象は静止画にも記録されます。
- 蛍光灯、水銀灯、ナトリウム灯などの照明下で、画面にちらつきや横縞が発生する
- 被写体に動きがある場合、被写体が歪む
- カメラ本体の動きによっては、画像が歪む
- ジャギー、偽色、モアレ、輝点が発生する
- 周囲でスピードライトやフラッシュなどが発光されたり、イルミネーションなどの点滅する光源がある場合、画面の一部が明るくなったり、明るい横帯が発生する
レリーズモードが連続撮影の場合、[サイレント撮影]を[する]に設定すると連続撮影速度が変更されます。
静止画撮影メニュー[手ブレ補正]を[しない]以外に設定すると、GボタンやKボタンを押したときに動作音がします。
サイレント撮影中はシャッター音を消して撮影できますが、被写体の肖像権やプライバシーなどに充分ご配慮の上、お客様の責任においてお使いください。出典:株式会社ニコンイメージングジャパン
https://onlinemanual.nikonimglib.com/z7_z6/ja/05_basic_settings_03.html
メカニカルシャッター(機械式シャッター|シャッター速度の調整にギヤ、振り子を組み合わせた機構)を省いたZ9やZ8を除き、多くのミラーレス一眼カメラでは電子シャッターの速度ではローリングシャッター歪みを防ぐことが難しいのが現状です。
そんな中だからこそ、Z9がミラーレス一眼カメラでメカシャッターレスを実現して登場したときは驚きました。
Z9やZ8ではメカシャッターレスで電子シャッター勝負なのですが、センサーの読み出しが速いので読み出し開始地点から読み出し終了地点で大きなズレなく撮ることが出来ます。
結果、歪みを極限まで抑制しています。
※Z9でも高速に回転するプロペラなどでは状況によって歪みが出ます。
こういったローリングシャッター歪みという現象と要因があることは教養として知っていると便利です。
カメラを使い分ける理由
では、私はどうしているかと言うと、シンプルにカメラを使い分けます。
ローリングシャッター歪みを抑えるにはフォーカルプレンシャッターで撮るか、高速な読み出しの電子シャッターで撮るか、そして新たにα9IIIの登場で希望が出てきたグローバルシャッター方式のCMOSセンサーを搭載したカメラで撮るかです。
※グローバルシャッター方式のCMOSセンサーについて話を広げると情報量が多くなるので詳細はまたの機会に記事にします。
もちろん、ローリングシャッター歪みは被写体や撮り方などに多少の制約が出るため、気にしないで済むことに越したことはないですが、電子シャッターを含めて考えると高性能なカメラが必要となります。
そして高性能なカメラは少し偏見があったとしても高価で大きく、重たいものです。
400g台など軽くて小さくローリングシャッター歪みを気にしない高速読み出し可能な電子シャッターのカメラが出ない限りは機材を撮影状況や被写体によって使い分けることが最善策かなと思います。
つまり、鉄道など被写体が左右に移動する長方形ならZ9やZ8を使う。
それ以外のカメラなら極力、フォーカルプレンシャッターで撮ること。
もし電子シャッター(サイレント撮影)を使うなら歪みに留意しつつ、カメラも極力動かないようにすることです。
実は電子シャッターでローリングシャッター歪みが出る状況で鉄道などの長方形かつ動く(流れる)被写体を撮る際に縦で撮ると長方形の歪みを防ぐことが出来ます。
ただ、センサー読み出しの速度は変わっていないので鉄道が読み出し開始地点から終了地点の間までは伸びる(歪む)ので実物より少し横に長く伸びたように見えます。
ただ、平行四辺形のような形にならないので気づかないことも多いです(笑)
この記事が皆さんの役に立てば嬉しいです。
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