こんにちは🌟
写真家のJimaです(^^)
今回はニコンで話題になっているRED監修のLUTファイルを楽しむうえで、入り口となる手順を解説します。
正直、ニコンの動画に関する情報は少ないです。
そして、ニコンの場合「こんな凄いことが出来るよ」という振り切った情報が見つかります。
つまり情報が”0”か”100”だなと私自身、違和感を感じていました。
なので”0”から”10”ぐらいまでの、LUT適用した動画編集の手順をまとめました。
逆に、この記事(動画)以上の内容はニコン依存ではなくなるので
ショートカットや動画のカット、エディットに音の調整など演出の領域に入ります。
そうなると”ニコンの撮影環境依存”ではなくなるので、Blackmagic DesignやSONYなどを利用されている動画クリエイターの”イケイケ動画編集”を参考にすればいいなと思います。
Nikon公式が今回のLUT(4種類)について紹介ムービーを作っているので参考に貼っておきます。
私自身、DaVinci Resolveはカラー機能が優秀かつLUTを楽しめる動画編集ソフトという使い方をしています。
なので、ゴリゴリのカットなどは使わずにニコンのカメラやレンズで撮れる素材を活かす編集を意識しています。
記事の内容を目次に並べました。
DaVinci Resolveのダウンロード
DaVinci Resolve は無償版と有償版があります。
もちろん有償版が優れておりますが、今回の内容は無償版で十分対応可能です。
ダウンロードはDaVinci Resolveの提供元であるブラックマジックデザインのURLを貼っておきます。
※当記事の執筆時ではDaVinci Resolve 19 が最新版です。
DaVinci Resolveの起動
DaVinci Resolveをインストール後、起動します。
起動後、プロジェクトを作成する画面が表示されます。
タイムラインの作成
まずは編集をする素材をタイムラインに配置します。
対象の素材を用いてタイムラインを生成します。
ドラッグアンドドロップでファイルをポイっと置く感じでOKです。
もし60pなどで収録した際は「プロジェクトフレームレートを変更しますか?」とダイアログが出てきます。
プロジェクトのフレームレートを優先する場合は「変更しない」、動画素材のフレームレートを利用する場合は「変更」を選びましょう。
タイムラインの音声解説
カラーマネージメント
大事なカラーマネージメントの設定について説明します。
DaVinci Resolve 右下にある歯車マーク(プロジェクト設定)から「カラーマネージメント」を選び以下の内容を指定しました。
設定内容
カラーサイエンス:Davinci YRGB
タイムラインカラースペース:DaVinci WG/Intermediate
出力カラースペース:Rec.709(Scene)
※macOSの方はRec.709-A
3D LUT 補間:テトラヘドラル
N-Log動画を編集する方法や手順は数多くありますし、利用環境によって最適な設定は異なります。
あくまで「私はこうやってDaVinci Resolveを使ってるよ」という参考例として紹介します。
カラーマネージメントの音声解説
ちなみにDaVinci Resolve の画面の下部に色々なボタンがあります。
これは左から右へ作業を流していく感覚で進めていくと快適です。
カット作業
次にカット作業ですが色々な手順があります。
指定した維持でブレード編集モードで切って不要な部分をDeleteしたりします。
またはクリップのイン点やアウト点を移動させる方法もあります。
あとはまとめて複数クリップを指定した状態で長さを一挙に整える方法もあります。
カット作業の音声解説
文字入れ
エディット画面で左側のタイトルから希望の文字スタイルを選択してタイムラインに追加します。
各テキストに対して内容や位置、色やサイズなどを個別に設定が可能です。
文字入れの音声解説
カラーコレクション
さて、DaVinci Resolve で動画編集を楽しむメインステージです。
右下にあるカラーページへ移動しましょう。
カラースペース変換用のノードを2つ追加
カラーコレクションには下準備が必要です。
まず、右上のノードエリアにて、ノードを右クリックして「ノードを追加」>「シリアルノードを追加」でカラースペース変換用のノードを2つ追加しましょう。
また私は明るさやホワイトバランスなど調整を加えたい項目がある場合は、影響する要素を分解するためノードを複数追加しています。
各要素を有効・無効と切り替えることで動画に影響する範囲をPhotoshopのレイヤー的な考えで扱えるので便利です。
それでは最初のノードにカラーコレクションの設定(1)を入れましょう。
最初のノードに指定した内容
入力カラースペース:Rec.2020
入力ガンマ:Nikon N-Log
出力カラースペース:Davinci Wide Gamut
出力ガンマ:Davinci Intermediate
次に最後のノードにカラーコレクションの設定(2)を入れましょう。
最後のノードに指定した内容
入力カラースペース:Davinci Wide Gamut
入力ガンマ:Davinci Intermediate
出力カラースペース:Rec.709
出力ガンマ:Rec.709(macOSならRec.709-A)
画面には色々とノードが追加されていますが、ノードにはカラースペース変換のみではなくLUTをあてる前の場所にノードを追加して明るさとホワイトバランスを調整すると便利です。
カラーコレクションの音声解説
LUT適用
いよいよ、当記事のメインとなるLED監修のLUTを適用する段階となりました。
最後のノードからひとつ前のノードにLUTを適用します。
実はLUTをはじめの方に適用してしまうと情報が失われることがあります。
なので、カラーコレクション(1)のノードの後には明るさやホワイトバランス、コントラストや彩度を必要に応じて配置しましょう。
そして最後のノードのひとつ前にLUTを適用して整えることを推奨します。
もしLUTが1.0で適用すると色濃く出る場合は「ノードキー>キー出力>ゲイン」にて0.5など適用度を弱めると良い感じになります。
イメージとして不透明度のような感覚で軽くLUTが当たる(適用される)感覚です。
LUTの適用を音声解説
書き出し
お疲れ様でした。
編集するファイルをDaVinci Resolveに読み込み、タイムラインを作って、尺の調整に文字入れ
そしてカラーマネージメントにカラーコレクション、カラーグレーディングと仕上げてきました。
後は画面右下のデリバーにて動画を書き出しましょう。
書き出しを動画で解説
書き出し後の動画を確認
おまけ知識
LUTの追加
サラっと進めてきましたが、実はRED監修のLUTを使う前にDaVinci ResolveでLUTが使えるように読み込んでおく必要があります。
ニコンのN-Log 用に適したRED監修のLUTファイルははニコン公式からダウンロードが可能です。
ちなみにDavinci ResolveにLUTを追加する方法はカラーマネージメントにてLUTフォルダ内へLUTファイルをドラッグ&ドロップすることで追加されます。
LUTの追加を動画で解説
ディゾルブの追加
これは動画編集で人気かつ場面展開に役立つ演出です。
画面(素材)が切り替わる際のフワっとしたした”アレ”です。
ディゾルブの追加を動画で解説
レターボックスの追加(出力プランキング編)
動画を映画っぽくするには上下に黒い帯が入ると雰囲気が出ます。
レターボックスなどと呼ばれたりしますが、DaVinci Resolveでは出力プランキングで対応できます。
もちろん、透過pngで上下に黒帯を含めることでも対応可能です。
レターボックスの適用例
レターボックスの追加を動画で解説
イン/アウト点の設定
書き出す範囲をサクっと指定するにはイン点とアウト点を使うと便利です。
ショートカットでキーボードにて「I」や「O」を使うと便利です。
動画でイン/アウト点の設定
録って綺麗!そのまま使えるSDRもオススメ
ここまでカラーグレーディング(LUT)について熱く語っていますが、実はカラーコレクションやカラーグレーディング、そしてN-Logでの収録や編集は興味がないと時間も要するし手間でもあります。
もっとJPEGのように気楽に「撮って綺麗」が便利な場面も動画にはあります。
そういった時はSDRでニコンの色味のまま、ピクチャーコントロールを適用した状態で収録できるので使ってみると良いと思います。
色味などの編集耐性はN-Logほどはなく、編集すれば情報が失われますが、撮ったままで明るさの微調整程度であれば問題なく綺麗だと思います。
これはJPEGでも同じですね
また、カメラ側の美肌効果などを適用した状態で使えるのもSDRの魅力だと思います。
N-Logで収録すると未来を考えて、動画編集ソフトなどが優秀になった際にも作品を自由に作り直すことも容易です。
こちらはNIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena に Z8 で収録した H.265 10bit SDR の動画です。
「すべてをN-Logで録る」ではなく、「ここはN-Logで録る」ぐらいが良いかなと私は思っています。
動画記録ファイル形式の違い
ちなみに、せっかくの機会です。
動画記録ファイル形式もメモしておきましょう
ニコン Z8では以下の映像圧縮方式が選べます。
気軽に使えるものからハイエンドな映像を求める際に使うものまで幅広く揃っています。
今は珍しくなくなりましたが、N-RAW、ProRes RAW HQ、ProRes 422 HQなどが外部レコーダーを使わず、カメラ内部で記録できることは追加で機材を買わなくて済むので助かります。
また、N-RAWやProRes RAWで撮影した際にはカメラ内でフルHDプロキシーファイルが同時に作成してくれるので映像の編集がスムーズになります。
大きいファイルを常に編集で触るのは高スペックPCでないと厳しいので・・・
ちなみに私は気軽さからH.265 10-bit を使うことが多いですが、高品質を意識するとProRes 422 HQの10-bitを選ぶのもアリだなと思います。
階調モード
映像圧縮方式とは別に動画撮影時には「階調モード」としてSDRやN-Log、HLGが選べます。
シンプルにお伝えするとSDRは私たちがファインダーで見ていた映像を収録してくれます。
一方、N-Logは当記事で熱く語った通りカラーコレクションやカラーグレーディング前提です。
SDRは編集耐性はN-Logに比べると一般的で、編集すると色情報などを失う場合があります。
N-Logはこの点、ダイナミックレンジに余裕があるため編集しても情報を保持した高品質な映像を作り上げることが可能です。
N-Logでの収録は色情報を豊富に含めるためにも淡い色で記録されます。
SDRとN-Logの関係は写真のJPEGとRAWで考えるのが、わかりやすいかもですね。
いかがだったでしょうか。
私はニコンのカメラで「内部収録でRAW動画が撮れる」という言葉だけが独り歩きしている感があると思っています。
もちろん「そんなことない」と思われるかもですが「動画はいらん」という反応があるのも事実です。
ただ「動画に興味はあるけど、何をどうしたらいいかわからない」という方々もいらっしゃいます。
そういった方は今回の内容を真似(トレース)するだけで、LUTファイルを適用した動画を書き出すことが出来ます。
そして、何となく知識として知っているだけではなく実体験として「これならSDRでいいや」という感覚もリアルにつかんでいただけるかと存じます。
是非、興味がある方は動画編集(カラーグレーディングで遊ぶ)などを試してみてくださいね。
この記事が、どなたかの撮影のモチベーションを高めることにつながれば嬉しいです。