こんにちは🌟
写真家のJimaです(^^)
質問をいただきました

ZR 興味があるのですが、ジマさんの印象を聞きたいです。

ZRを買う人として、何が魅力か
そして、何が気になるかを解説します。
はじめに
ZRというカメラはZシリーズとは別に、ニコンが「Z Cinema」と区切っている動画に特化したシネマカメラです。
個人的にはZ6IIIに近しい静止画撮影の性能やニコン Zシリーズのフルサイズ機にはないポジションであること、期待していたZ30のフルサイズ版のような位置づけであることから色々な視点で魅力を語りたいのが本音です。
ただ、情報過多になると「結局、何が大事で、誰向けのカメラなのか」がブレてしまいます。
これはZ8やZ6III登場時にもあった「動画の話はいらない」問題がZRにも継承される可能性があるなと危惧している部分です。
なので、私からは軸がぶれないように動画面についての話で進めつつ、抑えきれない静止画に対する熱量の部分はZRの発売が近づいた際にお届けしようと思います。
現状、メーカーの方針、製品コンセプトと私達、ニコンユーザーのリアルな声にギャップ・乖離があることはニコンも理解すべきです。
ただ、それはZRの上位版が出たら交通整理ができることなので、今後への期待だと思っています。
ZRの特徴
大前提として、ニコン ZRは動画撮影を意識した設計で登場したカメラです。
- 操作系を含め動画制作を強く意識したフルサイズ機であること。
- REDのカラーサイエンスやR3D NEなど内部収録に対応していること。
- 約630gと小型軽量でEVFが非搭載、実は静止画にも強い機種であること。
私は、ZRに対してRED社の色再現やカメラ内で多彩な記録フォーマットでのRAW収録など、映像制作で重宝する機能をコンパクトなボディに詰め込んでいる点が最大の特徴です。
加えて、他のフルサイズ機に対して小型軽量であるため持ち運びがしやすく、私はいつもよりワンサイズ小さいカメラバッグで出かけれることに感動した。

一方でEVFを省いた設計や物理操作系の癖から、静止画中心の従来ユーザーは慣れが必要になる点もあります。
まずは自分の撮影スタイルが動画主体か静止画主体なのか、両方を撮るのか、もしくは「今後、動画を撮りたいのか」などをハッキリさせる必要があります。
正直、趣味として使うユーザーにとっては少しハードルが高い部分や、操作性に独特の癖がある点も気になるところです。
ZRの良いところと気になったところを整理して紹介します。
ZRの良いところ
- REDのカラーサイエンスとワークフローを楽しめる
- RAWフォーマット「R3D NE」の内部収録が可能
- REDのハイエンドシネマカメラと同じカラースペース「REDWideGamutRGB」とガンマカーブ「Log3G10」を採用
- N-RAWやApple ProRes RAW HQなども対応している
- 6K 59.94pのRAW動画のカメラ内記録が可能
- ベースISO感度を低感度(ISO 800)と高感度(ISO 6400)で切り換え可能
- 部分積層型CMOSセンサーでメカシャッターレス機構
- シャッタースピードは1/16000~30に対応
- フラッシュ同調は1/60秒に対応
- ローリングシャッター歪みも効果的に抑えている
- 高速連続撮影(拡張):約20コマ/秒に対応
- 撮って出しで映画のような雰囲気に仕上がる「シネマティック動画」モードがある
- 動画特化の操作・物理ボタンの配置
- 収録データに縦横位置情報の記録が可能
- 約630gと軽量
- ファインダー(EVF)がなく、フルサイズ機の中でも小型
- 三角環がカチカチ音のならないタイプで良い
- Zマウント対応なのでレンズ資産を活かせる
- 4.0型の高精細で大型の背面液晶が良い
- 内蔵マイク 32bit floatの録音が可能
- OZO Audio技術により、内蔵マイクの指向性(集音方向)が設定可能
- ボディー内手ブレ補正が優秀
- 長回ししても熱停止しにくい
- デジタルアクセサリーシューに対応
- 主スロットがCFexpress Type-B 対応
- バッテリーが他のフルサイズ機と共有で便利
RED由来の動画性能
ZRの大きな魅力の一つがRED社のカラーサイエンスやワークフローを試せることです。
プロの現場で用いられるハイエンドシネマカメラと同じカラースペース「REDWideGamutRGB」やガンマカーブ「Log3G10」を採用している点は、映像制作者にとって学び・成長するうえで業界フォーマットに触れておく安心感を与えます。
また、内部収録でRAWフォーマット「R3D NE」が使えるのも魅力です。
さらにN-RAWやApple ProRes RAW HQなど幅広いフォーマットに対応しており、編集段階での自由度が高まります。こうした柔軟性は、作品制作において重要なポイントです。
とはいえ、ニコンは他のカメラでも多彩な動画記録フォーマットに対応しているので「ZRだから」と言われると「R3D NE」の内部収録に強い興味を持つ方が恩恵を受けやすいと思います。
高解像度と機動性の両立
6K 59.94pでRAW動画をカメラ内に記録できるのは、色々と便利です。
加えて、ベースISO感度を低感度(ISO 800)と高感度(ISO 6400)を製品ページで明記していることを含め、色々な環境で安心して撮影できます。
また、Z6III同様に部分積層型CMOSセンサーを採用しつつ、メカシャッターレス機構を実現している点も特徴です。
これによりローリングシャッター歪みが効果的に抑えられ、安定した映像を得られます。
高速連続撮影約20コマ/秒に対応している点も動画・静止画を併用するユーザーには心強いです。
操作性と物理設計
ZRは動画撮影に特化した操作系を持ち、物理ボタンの配置も映像制作に合わせた設計です。
シネマティック動画モードを搭載しているため、撮って出しで映画のような雰囲気を楽しめます。
これは特に編集に時間をかけず作品を仕上げたいユーザーに有効です。
本体は約630gと軽量で、ファインダー(EVF)がなくコンパクトな点も特徴です。
背面には4.0型の高精細な大型液晶を備えており、撮影確認がしやすいです。
三角環も静音タイプで、撮影中に余計な音を拾わないよう配慮されています。

音声と安定性
ZRは内蔵マイクで32bit float録音が可能です。
これにより音割れの心配が少なく、幅広いダイナミックレンジを収録できます。
さらにOZO Audio技術を採用し、集音方向を設定できるのも便利です。
動画撮影で重要な音のクオリティを確保できる点は大きな強みです。
また、ボディー内手ブレ補正の性能も優秀で、手持ち撮影でも安定した映像を実現できます。
長時間の撮影でも熱停止が起きにくい点も信頼性を高めています。
デジタルアクセサリーシュー対応やCFexpress Type-B対応など実用性を考えた仕様も揃っています。
気になる点と課題
良い点が多いZRですが、気になる部分もいくつかあります。
- 本格的な動画記録フォーマットを趣味として楽しむ人が、どの程度いるか気になる
- REDの色味が後々、横展開された際の優位性が薄れる可能性あり
- 仕事として使うにはZRの上位版が欲しくなると思う
- HDMI端子がType Dという不安がある
- 多くの静止画機能はZ6IIIと同等
- シネマティック動画モードなどもイメージングレシピさえ手に入れればZRの独占ではなくなる
- 動画特化の操作・物理ボタンの配置が癖があり戸惑う
- 背面液晶が大きく、カメラを持った時に不意に当たってしまいがち
- 物理ボタンが少なくて、機能割り当ては悩みどころ
- 約630gと軽量ですが、グリップが浅く持つ際に気を使う
- ファインダー(EVF)がない
- メニューボタンがiメニュー内にあるため、液晶を取り出すことが少ない
- OZO Audio技術は動画記録形式に少し制限がある
- ボディー内手ブレ補正はニコン内では優秀ですが、他社はもっと優秀
- 本体がホカホカと熱くなる
- 副スロットはmicroSDなので、予備用と割り切り
ZRは本格的な動画記録フォーマットを趣味として楽しむユーザー層がどの程度いるのかは疑問です。
本格的に動画を楽しむ方には魅力的ですが、一般層にとってはオーバースペックになりがちです。
どれだけの人がRED社の動画に関する「お試し技術」に興味があるのかがポイントです。
また、REDの色味は将来的に他機種にも展開される可能性があり、独自性が薄れる懸念があります。
仕事として使う場合はZRよりも上位機を求める声も出そうで、ダブルレックの対応やHDMI端子がType Dである点には不安が残ります。

操作性での迷いどころ
動画特化の操作系は便利である一方、慣れるまで癖を感じやすいです。
物理ボタンが少ないため、機能割り当てには工夫が必要です。
背面液晶が大きいのは利点ですが、カメラを構えた際に不意に触れてしまうリスクもあります。
また、約630gと軽量ではありますが、グリップが浅いため持ちやすさに注意が必要です。
ファインダーがない点も従来の撮影スタイルに慣れているユーザーにはマイナスに映る可能性があります。
加えて、メニューボタンがiメニュー内にあり、直感的な操作を妨げる場面もあります。
音声と熱に関する不安
OZO Audioは便利ですが、動画記録形式によって制限を受ける場合があります。
音声面での自由度が完全ではない点は惜しい部分です。
また、ボディー内手ブレ補正はニコンの中では優秀ですが、他社と比較すると一歩譲る印象があります。
さらに、長時間使用すると本体がホカホカと熱を持つ点も気になります。
副スロットがmicroSDであるため、実質的に予備用と割り切らなければならないのも実用上の制約です。
まとめ
ZRは映像制作の自由度を広げ、本格的な環境とと同じカラーサイエンスを楽しめるという大きな強みを持っています。
さらに軽量かつ小型でありながら、6K RAW記録や高品質な音声収録が可能で、動画制作者にとって理想的な一台といえます。
一方で、趣味として気軽に使うには動画編集ソフトを含め、ややハードルが高く、独自性が今後薄れる懸念や操作面での工夫が求められる点も見逃せません。
プロ向けの性能を必要とするユーザーにとっては大きな武器になりますが、一般的な写真愛好家にとってはZ6IIIなど他の機種が適している場合もあります。
とは言え、ZRは映像制作に情熱を注ぐユーザーにとって強力な選択肢です。
その一方で、誰にとっても万能ではなく、用途や目的に応じた選択が必要になります。




















