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カメラで撮った写真を守る【ニコン真正性サービス】C2PA/Content Credentialsの魅力

こんにちは🌟
写真家のJimaです(^^)

質問をいただきました

Z6III で追加されたC2PAって何でしょう?

C2PA/Content Credentials は今後、登場するカメラにも搭載される可能性の高い機能なので必要性を含め解説します。

なぜ画像の真正性が必要なのか

ここ最近、生成AIの普及によって「本物かどうか」がわからない画像や映像が大量に出回るようになりました。

政治的なニュースやSNSに流れる写真や動画は「本当なのか?」と判断することが難しく、拡散されることによる混乱は無視できません。

戦争や災害時の情報は私たちの命に係わる情報ですが、いわゆるフェイクニュースなどによって世論が操作されたり、誤情報が広まるリスクが社会問題として顕在化しています。

一方で、写真を撮影する私たちクリエイター側にとっても、作品が改ざんされたりすると「信用問題」につながります。

つまり、画像の真正性を担保する仕組みは、社会全体にとっても、私たち個人のクリエイターにとっても欠かせない存在になってきたのです。

真正性(シンセイセイ)とは、情報が正しい発信者によって作成され、改ざんされていないこと、または、ある人や物、データが、それが何であるかの主張通りに本物であることを保証すること。

生成AIの技術が悪いという話ではありません。
技術進化は止まらないので、正しく使いましょうという話です。

C2PAとは何か

ニコン Z6IIIでは[C2PA/Content Credentials]という機能が追加されました。

混在しないように分けて話すと、C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)は、デジタルコンテンツの「出所」と「改変履歴」を証明するオープンな技術標準を策定している国際的な団体です。

生成AIによる誤情報拡散への懸念が高まった背景を受けて設立され、AdobeやMicrosoftをはじめとする世界的な企業が参画しています。

C2PAの仕組みでは、画像などに暗号化されたメタデータを埋め込み、そのコンテンツが「誰によって、いつ、どのように作られ、編集されたか」を後から確認できます。

これによって、情報の信頼性や透明性を高めることを目指しているのです。

Content Credentials(コンテンツ認証)とは

C2PA規格を利用した仕組みのひとつが「Content Credentials」です。

これは、画像に撮影日時・撮影機材・使用した編集ソフト・AI生成の有無などの情報を暗号化して埋め込みます。

今回のニコン Z6III のファームウェアアップデートでは、電子証明書をNikon Imaging Cloud経由でカメラに読み込むことで、この機能を利用可能になりました。

Z6III
出典:株式会社ニコンイメージングジャパン(Z6III)

来歴記録機能を使用すると、撮影した画像にカメラや撮影日時、撮影者などの来歴の情報を改ざんが困難な形式で記録できます。

来歴記録機能を使用して記録された来歴は、画像の真正性を確認するサービス(ニコン真正性サービス)を提供しているNikon Imaging Cloudで確認できます。

つまり、来歴を利用することでコンテンツの信頼性を高めることができます。

ちなみに、

C2PAは食品の成分表示やトレーサビリティに近く、どこで作られ、どう加工されたかを明示する仕組みです。

NFTは登記簿や所有証明書 に近く、この家や土地が誰のものかを証明する仕組みです。

どちらも情報の透明性に重点を置いている技術ですね。

▼レビュー動画はコチラ

手順と注意点

ただ、利用前に下準備が必要です。
ニコン真正性サービスを使うには、以下のステップを踏む必要があります。

  • Nikon Imaging Cloudで利用申請を行う
  • カメラをクラウドに接続する
  • 電子証明書を読み込む
  • 来歴記録機能を有効にして静止画を撮影する
Z6III C2PA/Content Credentials
出典:株式会社ニコンイメージングジャパン(Z6IIIマニュアル)
出典:株式会社ニコンイメージングジャパン(Z6IIIマニュアル)

さらに注意点があります。

  • 来歴が記録されるのは静止画撮影メニュー[階調モード]を[SDR]など限られている。
  • カメラを譲渡・廃棄する前には電子証明書の削除が必要。
  • セットアップメニューの[カメラの初期化]を実行すると電子証明書も削除される。
  • 電子証明書は3回までしか発行できない。
  • 来歴記録機能をオンにすると連続撮影可能コマ数が減少する場合がある。
  • 撮影画面の右下に表示される「r000」の回復に時間がかかることもある。

今後、中古で買ったZ6IIIの来歴記録機能が正常に使えるか気になるところです。
また、実際の運用では高速連続撮影時のリズムに影響が出る可能性があります。

参考(Z6III マニュアル)
セットアップメニューに[C2PA/Content Credentials]が追加

利用シーンとメリット

この仕組みが真価を発揮するのは、報道などの写真の信頼性が大事な場面です。

「その画像は本物?」と疑われた際に画像の出所や生成AIの有無を保証できることは極めて大きな意味を持ちます。

また、企業や広告分野でもブランド価値を守るうえで重要な役割を果たします。

欧州では特にAI利用への規制や倫理的議論が進んでおり、クリエイティブ分野においても「これは本当に人間が作ったものか」という点が敏感にチェックされています。

さらに私達、個人ユーザーにとっても、自分の作品が「本物」であることを証明できるのは安心感につながります。

ニコンはZ6IIIを切り口に報道のみならず、個人のクリエイターにもこういった機能を展開するのが面白いですね。

▼レビュー動画はコチラ

時代が進み、著名なSNSに作品を投稿するとき、証明付きの画像であることが確認できれば、見る側の信頼を得やすいのです。

実は以前にも取り上げていました

今後の課題と展望

とは言え、新しい技術や守りの考えは浸透するのに時間を要します。

なので、すべてのユーザーが利用する必要はなく、こういった機能があると助かるという必要とする人が活用すれば十分です。

ただし、生成AI時代においてコンテストや学術研究など真正性が求められる場面では「証明付きの写真」が活躍する場面も増えそうですね。

今後、Z6III以外の新しいニコン機にも順次搭載されていくことが予想されることを考えると、教養として知っておいて損のない情報だと思います。

あとがき

C2PAやContent Credentialsの仕組みは、まだ始まったばかりの取り組みです。

フェイクニュースが増えた時代だからこそ、私たちが撮った「本物」を守る技術は今後ますます価値を持つと思います。

今後の撮影スタイルや作品発表の場でどのように役立ちそうか、ぜひYouTubeのコメント欄で教えてください。

この記事を書いた人
Jima
Jima
写真家

こんにちは(^^)
写真家のJimaです。
フォトスタジオのディレクター兼フォトグラファーとして従事。
管理職として得た経験と知識を活かして法人設立、代表に就任。

写真撮影の手法や技術、機材の特徴解説など情報発信に加え
公募展へのゲスト出展やメディア寄稿、写真集の販売など活躍の場を広げる。

◆YouTubeチャンネル|カメラ塾【JimaTube】
https://www.youtube.com/@jimatube
カメラや写真、 撮影知識の情報を「楽しく学ぶ」をコンセプトに発信中

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