こんにちは。
Jimaです。
今回は、ニコンの2027年3月期第1四半期決算を、カメラとレンズを日々使う一人のニコンユーザーの目線で語ります。
先に結論
決算の数字を見ると、映像事業は台数を減らしながらも会社全体を支える稼ぎ頭であり続けています。
減益の理由として挙がっているメモリー価格の高騰は、実はカメラだけの話ではなく、パソコンやスマートフォンまで巻き込んだ世界規模の動きです。
その背景には、生成AIの広がりと、世界情勢の変化による部材の調達の難しさがあります。
そしてユーザーとして今年いちばん実感するのは、
レンズは充実したのに、新しいカメラの発表がまだ一つもないことです。
この記事では、決算の事実と広い視野を追いながら、私が感じていることも一緒にお伝えします。
決算の内容が慎重に変わっている
第1四半期の映像事業は、カメラとレンズの販売台数が減り、売上と利益が前年を下回りました。
売上収益は729億円で、前年の800億円から71億円減っています。
営業利益は81億円で、前年の111億円から30億円減りました。
営業利益率は11.1%で、前年の14.0%から下がっています。
台数で見ると、レンズ交換式デジタルカメラは21万台で前年から6万台減、交換レンズは31万本で前年から6万本減という結果です。
減った主な理由として、決算資料は中国での需要減を挙げています。

円安という追い風があってもなお売上が減ったので、台数の落ち込みはそれなりに大きかったと感じました。
とはいえ、これはニコンの製品力が落ちた話ではなく、中国市場全体の冷え込みという外側の要因が大きい点は押さえておきたいところです。
通期見通しも下方修正されている
通期の見通しでは、ニコンは映像事業の計画を前回から引き下げています。
通期の売上収益は2,900億円、営業利益は130億円の見込みです。
これは5月時点の前回予想から、売上収益で130億円、営業利益で30億円の下方修正です。
引き下げのいちばんの理由は、足元で主に中国での需要が減退していることです。
私が注目したのは、ニコンが市場規模の見通しそのものを下げた点です。

レンズ交換式デジタルカメラの市場全体の見通しを、前回の700万台から670万台へと30万台引き下げています。
それに合わせて、ニコン自身の販売計画も90万台から85万台へ、交換レンズも130万本から125万本へと下げています。
一方で前年との比較では、売上収益は販売数量が減るぶんを為替効果が打ち返し、ほぼ前年並みの見込みです。
営業利益は、為替効果や前年の一時費用の剥落、米国関税還付があるものの、販売数量減とメモリー価格の高騰により、42億円の減益を見込んでいます。
これは私の受け止めですが、自分たちの市場見通しを下げるのは、足元の数字に正直に向き合った現実的な調整であり、むやみに強気を続けない慎重さの表れだと感じました。
台数が減っても映像事業が稼ぎ頭である理由
販売台数が減っても、映像事業はニコンの中で圧倒的な稼ぎ頭であり続けています。
第1四半期は会社全体の営業利益が9億円の赤字でした。
その中で映像事業は81億円の黒字を出しています。
ほかのセグメントでは
- インダストリー事業が30億円の黒字
- ヘルスケア事業が10億円の黒字
- 精機事業が26億円の赤字
- デジタルマニュファクチャリング事業が21億円の赤字


こうして見ると、映像事業ひとつで会社の利益を下支えしている構図がよくわかります。
台数を減らしながら営業利益率二桁を守っているのは、カメラとレンズが今もニコンの本業として強いことの表れだと感じました。

同時に映像事業の一本足での経営になっていることが少し不安ですね。
映像事業が元気なかった時代に精機事業が支えてくれていたので、今は入れ替わっているようです。
理想は映像事業、精機事業どちらも調子が良く、第三、第四の稼ぎ柱の事業が出来ることだと思います。
メモリー価格の高騰はカメラだけの話ではない
減益の理由として名前が挙がったメモリー価格の高騰は、カメラに限らず電子機器の全体に広がっている動きです。
パソコン、スマートフォン、小さな電子機器まで、メモリーを使う製品はどれも同じ値上がりの波を受けています。
大きなきっかけになっているのは、生成AIの広がりです。
世界中でAI向けのデータセンターが急拡大し、そこで大量に必要になる高性能なメモリーに注文が集中しています。
メモリーを作る各社は、利益の大きいAI向けを優先して生産するため、私たちが使う一般向けのメモリーは供給が細くなり、価格が上がっています。

私も愛用するマイクロンという会社はコンシューマー向けブランドのクルーシャルを作るのをやめて、商業用に集中すると発表がありました。
実際に、パソコンやスマートフォンの一部では、この値上がりを理由にした価格の引き上げが始まっています。
この状況は、すぐには落ち着かないという見方もあり、カメラを含むガジェット全般にとってしばらく向き合う話になりそうです。
世界情勢の変化が部材の調達を難しくしている
メモリーだけでなく、世界情勢の変化そのものが、電子機器の部材の調達を読みにくくしています。
各国の貿易のルールや輸出の制限が各地で変わり、ものづくりに必要な材料や部品を安定して手に入れることが、以前より難しくなっています。
たとえば、電子機器に欠かせないレアアースのような重要な材料をめぐって、輸出に許可が必要になる動きが出ています。
世界の情勢を背景にした物価の上昇も、部材や輸送のコスト全体を押し上げています。
こうした流れは、カメラを含むあらゆる工業製品の原価に、時間をかけてじわじわと効いてきます。
一つひとつは遠い世界の話に見えても、めぐりめぐって手元のカメラの値段につながっている、という視点は持っておきたいと感じました。
為替も、この調達の話と切り離せません。
2026年7月31日には、行きすぎた円安を止めるために、日本とアメリカが足並みをそろえて円を買う協調介入が行われました。
円を買う方向での日米の協調は、実に28年ぶりのことです。
それでも為替はふたたび円安方向に戻り、足元では1ドル160円前後で推移しています。
円安は、ニコンにとって海外での売上を押し上げてくれる追い風になります。
その一方で、海外から仕入れる材料や部品の調達費を高くする方向にも働きます。
これは私の見方ですが、これだけの介入があっても円安の傾向が続いているので、急激な円高による減益は、今のところそれほど気にしなくてよいのではないかと考えています。
とはいえ、円安が続く分だけ、材料などの調達費は今後も上がりやすいと見ておくのがよさそうです。
この逆風がニコンとユーザーに意味すること
こうした全体的な逆風は、ニコンの決算の数字にも、私たちユーザーの財布にもつながっています。
決算資料が減益の理由にメモリー価格の高騰を挙げたことは、この世界的な流れがニコンにも影響してくる証拠だと思います。
これはあくまで私の予想ですが、部材のコストが上がる局面では、思い切った価格の新型は出しにくくなり、将来のカメラ本体の値段や値引きの余地にも影響してくるかもしれません。

もっと言うと、すでに登場しているカメラ達が価格改定で値上げとなることも気になってきます。
ちなみに、会社の考え・姿勢は、投資と株主への還元の両方から読み取れます。
通期の研究開発投資の見通しでは、映像事業に全体の33%にあたる245億円が割り当てられ、前年とほぼ同じ水準が維持されています。

利益が厳しい局面でも映像事業への投資を落としていないことは、カメラとレンズに継続して力を入れていく姿勢の表れだと受け止めていて、私は安心できる材料だと感じています。
その一方で、年間配当は前の年の40円から20円へと引き下げられました。
利益を取り戻す途中の慎重な判断だと感じていて、無理をせず足元を固めようとする姿勢が伝わってきます。
そして決算資料の中でニコン自身は、レンズ交換式デジタルカメラの市場は中長期的には堅調に推移すると見ています。
だから私は、この逆風は悲観するためのものではなく、腰を据えて良いものを仕込む時間として受け止めています。
今年のニコンはレンズが充実している
カメラの新製品がない一方で、今年のニコンは実用的なレンズが出ています。
まず、2026年1月30日にNIKKOR Z 24-105mm f/4-7.1が発売されました。
約350gと軽く、焦点距離24mmから105mmまでを1本でカバーする標準ズームレンズです。
実売価格も手が届きやすく、旅先で1本だけ持ち歩くレンズとして候補にしやすいと感じました。
次に、2026年4月24日にNIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S IIが発売されました。
ズーム全域で開放F値2.8が維持される大口径望遠ズームでありながら、質量は約998gと1kgを切っています。
全長が変わらないインターナルズーム機構なので、望遠ズームでも扱いやすさを保っています。
前のモデルを使ってきた方にとって、この軽さは持ち出す回数を増やしてくれる進化だと思います。
そして、2026年5月7日にはNIKKOR Z 120-300mm f/2.8 TC VR Sが開発発表されました。
こちらは発売時期がまだ未定で、1.4倍のテレコンバーターを内蔵し、120mmから420mmまでを1本でカバーする望遠ズームです。
スポーツや野鳥など、遠くの動く被写体を追う方にとっては、機材の組み方を見直すきっかけになりそうなレンズだと感じています。
カメラの新製品が待ち遠しい
レンズが充実した一方で、新しいカメラは開発発表さえまだ出ていません。
挙げた3本はどれもレンズで、ボディの新製品は今年に入ってから一つも発表されていません。
レンズが増えるのは、もちろんうれしいことです。
とはいえ、一人のユーザーとしては、やはり新しいカメラに触れるときのワクワクを味わいたい気持ちがあります。
心が動くような、待っていてよかったと思える発表を期待している自分がいます。
9月以降の秋から冬にかけて、そうした発表があるといいなと思いながら、次のニュースを待っています。
まとめ
今回の決算は、映像事業が台数を減らしながらも会社を支える稼ぎ頭であり続けていることを示しました。
良かった点として
映像事業への研究開発投資が維持され、NIKKOR Z 24-105mm f/4-7.1やNIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S IIといった実用的なレンズもそろい、選ぶ楽しみが増えました。
気になる点としては
メモリー価格の高騰や部材の調達費の上昇があり、これはニコン一社の問題ではなく、生成AIの広がりや世界情勢の変化を背景にした世界規模の逆風です。
通期の販売計画の引き下げや年間配当の減額からは会社の慎重な姿勢も伝わりますが、映像事業への投資を続けている点も含めて、市場を悲観しすぎる内容ではないというのが私の受け止めです。
新しいカメラを待っている方は、秋から冬にかけての発表に注目しながら、いま使っている機材で撮る時間を楽しんでおくのがちょうどよいと思います。

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